今回は、新人時代に学生からのフィードバック(FB)で印象に残っていることを紹介します。
当時、日本の日本語学校で大学進学を目指す学生の授業を担当していました。
その学校では学生に授業アンケートを実施していたので、学生からのFBが直接聞ける環境がありました。
とうぜん、いいことばかりではないですし、「それ、私に言う?」ということもありますが、印象に残っているFBを振り返ります。

授業概要

日本語能力試験(JLPT)対策授業
N3 文法
学生:非漢字圏、7人(約半分はN4不合格の状態)
授業実施:週1回(90分)
使用教材:Try!N3文法

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感想(2件)

当時の授業進行

ざっくりとしていますが、振り返ると基本的に「教科書を教える」状態でした。
例文確認→意味や接続確認→教科書にある問題実施→短文作
という具合です。
最初は例文確認の前に導入をしていたのですが、時間的な都合もありやめたんですよね。

これを見るだけでも、すでに日本語教師をしている人は気がつくと思いますが、学生のインプットが大量になります。
処理スピードを無視して突き進んでいくような感じになってしまいます。

当時のクラスにはN4に合格できなかった人が半分くらいいたので、そもそも目標レベルがあっていないという現状はありましたが、学校の方針もありましたのでそこは突き進むしかなかったのです。
そうなると、学生がどんなに一生懸命やろうと思っていても、教科書の例文に使用されている語彙も意味不明だったりします。
そこに私の大量の説明…

多少経験を積んだ今は「すみません」という気持ちですね。本当に。

FB内容「ポイントがわからない」

自由コメントの欄にわざわざ記入があったと聞きました。
本当に分からなかったのでしょう。

「助けて!」という気持ちだったのかもしれません。

理解のできない語彙、大量の聴覚情報、文法の説明、語彙の説明…
考える時間も少ない中で文作をしろとまで言われるとなるときついですよね。
新人で私も答えがない中でやっていたので必死ではありましたが、学生にはそんなこと関係のないことなので。
(アンケートに書いてくれたのは本当に良かったと思っています)

このコメントに至ったのは、完全に情報過多だったことにより、結局何が(どこが)大事なのか伝わりづらくなっていたことが原因だったと考えられます。
つまり、文法の授業の情報は可能な限り少ない情報で、視覚情報も合わせて一番のポイントが伝わるようにはっきりと示すことが大事なんですね。

今なら場数も踏んできて、当時の自分に少しだけ効果的なアドバイスができる気がします。
ちなみに、シンプルに
①伝えたい内容に優先順位(必須なものとそうでないものの取捨選択)を考えて、整理する。
②ポイントだと伝えるために効果的な方法を考える。(赤ペンで板書するのか、教科書にラインを引かせるのかなど)
③文作をさせるには段階を踏む。(接続部分を正しく活用させる→選択問題→語彙穴埋め程度の短く考える→前件(後件)を考えさせる→短文作成)
特に③は短文全部を作れなくてもよしとするのがポイントですね。
一部なら作れた!でもいいわけです。
文作ができる=文法を理解しているというわけではありません。
文作以外にも理解を図る方法はあります。

まとめ

新人時代や、苦手な文法を授業で扱うときは、なかなか上手にいかないかもしれません。
「新人だからいい」「苦手なことはあるから仕方ない」で片付けるわけにはいきませんが、正直場数で改善されるところがあるのも事実だと思います。
環境が恵まれているかどうかにもよりますね。
今後も過去の反省を記録していこうと思います!
「なにそれ〜」なんて笑いながら見てください笑