日本に帰国してから最初に勤務した学校は、非常勤での勤務でした。
出勤日数的には毎日出勤だったので、常勤と同じように勤務していましたが、雇用形態は非常勤でした。
自分で選んだからというのと、その学校は修士がないと現実的には常勤講師として採用されることはなかったからです。
※求人ではそんなこと書いていかなったのですが、採用担当の意向がそうだったようです。

色々あって、そこの学校を辞めて、違う学校で勤務し始めたのが1月だったので、3月までは非常勤での勤務だったのですが4月の年度替わりするタイミングの契約更新で常勤へのオファーがありました。
基本的には非常勤の勤務形態は自分の理想に近いのですが、そのお話を受けて常勤として勤務していたこともあります。
非常勤講師がよくて非常勤を選んでいた私が、なぜ専任講師になったのでしょうか。

①金銭的な安定が欲しかった

非常勤だと、授業がないと給料が出ません。
当たり前ですが、学生の長期休み期間は講師も長期休みとなります。
旅行が好きな私にはこれが大きな魅力なのですが、一方で給料的なところを考えると痛いです。
そのため、非常勤の間ずっと給料面だけはモヤモヤしていました。
その点、常勤になれば給料は安定します。
月給で決まった額のお金が入る安心感は大きいです。

この時は、この学校に対しての印象も良かったので常勤でもやっていけそうだと思えたし、その上給料が安定するなら休みは多少変わっても仕方ないかーと考えました。
実際、貯金もしっかりできたし、自由に使えるお金も増えたし、当たり前ですが年収も上がって満足でした。

②社会保障関係

非常勤だと「国民年金」「国民健康保険」を利用することになります。
決して悪くない制度なのでしょうが、社会保険と比べると見劣りしますよね。
同じような勤務時間(コマ数)で社会保険の有無が変わってしまうので、そういう意味では割り切って専任になるというのはメリットも大きいです。

他の福利厚生に関してはどんなものがあるのか、いまいち理解していなかったのと、一般企業に勤めていたときも利用していなかったのであまり気にしていませんでした。

③キャリアアップの可能性を考えた

正直、専任になった時は「主任になりたい」とは全く思っていませんでした。
今現在も思っていないので、そのようなキャリアアップの道に進むことは可能性が低いとも感じます。
ただし、将来的に主任を含めたキャリアアップの可能性がないとはいえません。
日本的に日本語学校で大きな昇給につながるキャリアアップはポジションを変えることです。
日本語学校のポジションは極端に言うと、非常勤講師・専任講師・主任です。
そして、主任になるためには「告示校で専任講師経験3年以上」の経験が必要です。

さて、考えると簡単なことですが、生活のためなどキャリアアップを考えたときに「来年度から」と望んだとしても、条件を満たしていないと実行に移せません。
専任の経験がなかったら、主任になりたいと思ってから最低3年は主任になるチャンスすらないのです。
そのため、絶対にないとは言い切れない「可能性」を考えて、専任講師になることにしました。

④学校運営全体を見てみようと思った

非常勤講師は多くの場合、時間単位での勤務で「授業」をするのが仕事です。
担当する授業をきちんとしていれば講師として責任を果たすことが出来ますし、それ以上のことは求められません。
そのため、一年間のスケジュールや運営に関してまでは知らないことが多いです。

それらを知りたかったら常勤になるのが一番の近道です。
実際にやってみないと分かりませんからね。
これが、主任になる条件に「専任経験」が求められる所以なんでしょう。

日本語学校の多くは、広報活動も学生募集も経理も…なんでも専任講師が担当を分けてこなしていることが多いです。
正直、その現状には「専門の人を雇うべきでは?」と思いますが、そういう現実も含めて経験できたことは価値ある経験だったと思います。
(だからといって、この現状をそのままに「当たり前」としてしまっていいとは言っていません。)

⑤学生対応を経験したほうがいいと思った

私は「授業」を通して学生と関わるのが好きなのですが、進路・生活指導なども含めて関わってみる経験をしてみるのもいいかなと思いました。
学生の生活指導などは、その方法や範囲が問題になることもありますが、進路などで「授業」だけの非常勤とは違った方向で関わることができます。
ビザ申請のサポートなども含めて面談をすることもあるので、非常勤とは違ったことが見えてくるきっかけになります。

非常勤講師で仕事をするとしても、彼らの環境により理解を示したり、見分を広げたりするには知っていた方がいいこともたくさんあります。
個人で学会に参加したり、いろいろな方向にアンテナを張って情報収集している人もいますが、「現場」の力は大きいですよね。
もちろん、「知りたいから」だけで常勤になるのが正しいと言うわけではありませんが、一つの方法ですよね。
そして、目の前の学生にすぐにつながるのでいい循環になるでしょう。

まとめ

結局、わけあって現在は非常勤に戻ったのですが、常勤を経験したことはよかったと思っています。
そして、「日本語教師」として生計を立てようと思う人には常勤を目指してほしいとも思っています。

非常勤でも経験できる学校もあるので(実際、私は非常勤でも自分でやっていたので)、上記には入れませんでしたが「シラバスやカリキュラム作成をする」経験ができるのも常勤ならではである学校も多いです。
これができると、プライベートレッスンで自分でいろいろ考えないといけない環境になっても対応ができるようになります。
特に教科書の選定、ペース配分はどうするのか、宿題の設定などは、どこで働くにしても生きてきます。
チャンスがあれば、ぜひ自分でやってみてください。

大変なことも多い常勤ですが、経験できてよかったです!