「日本語教師」をネット検索すると、「薄給」「生活できない」「食べていけない」など、仕事として選ぶには不安すぎる言葉が検索ワードに出てきます。
不安になりますよね、心配になりますよね。
生活のための仕事として選んでいいのか…日本語教師をしている人は、この悩みは最低一回は通過しているのではないかと思います。
「中の人」が具体例をあげて考えます!
給料は?
専任(正社員)の給料は、地域差はありますが、「20万円くらい」です。
求人情報に書いてあるので、その情報を信じれば大丈夫です。
正社員だと、充実しているかどうかは別として福利厚生もあるし、保険もあります。
基本的には一般企業の正社員と同じイメージで想像して問題ありません。
専任の中でも主任になると、給料が上がります。
ざっくりですが、「25万円〜33万円」くらいの求人をよく目にします。
専任の給料は「20万円」も「25万円」も額面なので、そこから税金云々が引かれます。
一方、非常勤(非正規雇用)の給料は、月給での固定ではなくコマ給(もしくは時給)での精算になります。
コマ給か時給かは、求人を見るだけでは判断できないことが稀にあります。
「時給〇〇円」と書いてあっても、話を聞くと「コマ給での精算です」と言われることもあります。
確認すると答えてもらえるので、必ず確認しましょう!
一般的には「1500円〜2000円」くらいのコマ給が多いです。
正直、授業準備などを考えると1500円はいくらなんでも安いでしょう、とは思いますが…
(個人的には2000円でも、もう少し上げてほしいと思っています)
非常勤で仮にフルタイムと同じように授業に入るとしたら、午前4コマ+午後4コマ×週5日を1800円で計算すると「288000円」が目安になります。
これを見ると、常勤より稼げるし非常勤最高!と思いますよね?
正直、甘いです…
私は、非常勤勤務で仕事をしていますが、こんな給料になったことがありません。
イベントで出勤がなかったり、祝日で休みになったり、そもそもこんなにカツカツフルフルでは授業に入れないからです。
入れないというのは、それだけのコマ数がない現実と、授業準備を考えるとこのスケジュールは現実的ではないからです。
私は昨年の1ヶ月の給料は最高が24万円くらいで、最低は1500円です。
去年は緊急事態宣言の影響があって、1500というありえない数字を叩き出しました。
とはいえ、非常勤の現実はそういうことです。
授業がなければ給料が支給されません。最悪の状況では給料が入らないということが発生するということです。
ちなみに、通常であれば、17万円〜19万円くらいが額面での給料です。
非常勤講師が収入を増やすには、掛け持ち・時給の高い学校に勤務する・副業をするなど、仕事を獲得する努力と生活を維持する決意みたいなものが必要だと思います。
「とりあえず、在籍して、日々出勤さえしておけば、仕事ができなくても給料が入る」という人も世の中にはいますが、日本語教師の特に非常勤講師の仕事はそれではお金になりません。
以上から、「生活できるのかどうか」は、個人の生活水準によって大きく変わってくるかと思います。
ただ、現状、生活できるという人も多くいます。
むしろ生活できないという人は少ないのではないでしょうか。
生活できないと辞めやすよね?流石に。
そういう意味では、非常勤であっても「生活できない」という人はいないのかと思います。
「理想の生活ができている」という基準で考えると、難しいと思う人がいるのも事実です。
ネットで出てくる「生活できない」というのは、「理想に対して」という側面があるのではないかと推測します。
時間は?
仕事の時間ですが、ここでは非常勤講師の勤務時間を先に紹介します。
非常勤は基本的に「授業をする人」です。そのため、授業時間は当然仕事時間となります。
学校によって多少違いますが、ざっくり9時〜17時半の間に授業をしているので、その間の授業時間は「仕事」です。
そして、授業時間以外に採点・授業準備・引き継ぎなど、があります。
経験年数や使うツールなどもあり、個人差がありますが、授業準備は1時間〜3時間という話をよく耳にします。
採点は単純に○×をつけるだけでいいのか、作文のように添削をするのか、結果を記録する必要はあるのかなどで時間が変わります。
慣れると早くなります。
このような内容だと理解して、自分がどこまで時間を割くのかによって変わってきます。
こだわり派の人はつい時間をかけてしまったりすることもあるので「どこまで」と基準を考えておくことも有効だと思いますよ!
時間外の学生対応は基本的には仕事ではない(専任が対応することが多い)ので、突発的なことはあまりないでしょう。
どれくらい授業に入るのかにもよりますが、バランスよく授業に入れば、週末の休みに仕事をしなくても済むようにスケジューリングすることができます。
一方で、専任の先生はプライベートに仕事が侵食している人が結構います。
専任だと、一般企業の勤務と同じように、朝出勤して、夜帰宅します。
その間に、授業をしたり(ない場合もある)、学生対応をしたり、学校運営関係の仕事をしたり…色々あります。
非常勤と比べると授業準備は勤務時間にできたりするので「時間内に終わらせたらいいんじゃない?」と思われるかもしれませんが、突発的な対応を無視できないためにプライベートの時間に仕事が発生してしまうのです。
今まであったトラブルでは、アルバイト先でのトラブル(出勤したとかしないとか)、交通事故、失踪疑惑、体調不良(入院)など、個人での対応が難しい場合は学校に連絡が来ます。
そうなると、家庭訪問をしたり、関係各所への対応をしたりするのは専任講師(もしくは事務)の仕事になりがちです。
流石に「時間外だから」と無視するわけにはいかないからなんですが。
こう考えると、プライベートの時間に100%侵食しない仕事は日本語教師としては難しいのが現状です。
非常勤であっても、専任であってもです。
ワークライフバランスは個人だけではなく、勤務先によっても左右されるので一概には言えませんが「仕事は職場だけでするもの、自宅では一切しない」とするのは難しいです。
まとめ
今回は、給料と時間の側面をメインに考えてみました。
全て日本での勤務を想定しています。
「生活できない」となると、仕事とは言えませんし、そのような環境で使命感だけで仕事をしている先生は流石にいないと思います。
ただ、「理想の生活ができるか」となると、何かを妥協している人は多くいます。
貯金が難しい現状もあるでしょう。
何を優先するのか、妥協できないことはなんなのか、をしっかり見極める必要があることは理解した上での職業選択になるのではないでしょうか。
非常勤の私から言えることは「常勤であれば基本的には生活できるけど、非常勤だと不安定。国際情勢や学校の経営状況で大きく左右される可能性がある」です。
非常勤は安心できません。今、生活ができる環境でもこの先もそのままの状況を維持できるという保証はありません。
特にコロナの影響で更新なく仕事がなくなってしまった先生も多くいます。
資格を取るにもお金はかかるし、日本人なら誰でもできる仕事でもありません。
国家資格化も話がありますが、待遇改善につながることを期待したいです。