今回は授業で新人の日本語教師がやりがちが落とし穴を一つ紹介します。
特に初級のクラスでは大混乱を招きかねないので要注意です!
日本のバレンタインデーとホワイトデー
日本のバレンタインデーは、以前は「女性から男性にチョコレートをプレゼントする日」でしたよね。
イベント化が進むにつれて、義理チョコ・友チョコなどあげる対象が増えていきました。
男性から女性へも聞くようになりましたね。
もちろん、プレゼントもチョコとは限らなくなりました。
ホワイトデーはバレンタインデーと対で考えられて、「お返しの日」でした。
主にプレゼントをもらった男性が女性にお返しの贈り物をする、という感じですね。
こちらも最近は多様化してきたと聞きます。
多様化したことを認識していたとしても
バレンタインデーは「女性→男性」
ホワイトデーは「男性→女性」と考える人、イメージする人は多くいますし、それが理解できないという人は少ないのではないでしょうか。
そう考えると、日本国内では共通認識としてプレゼントの方向性と性別は理解できるものだと思います。
同意するかどうかは別として、「意味が分からない!」「初耳だ!」という人は限りなく少ないですよね。
海外のバレンタインデーとホワイトデー
「海外」とくくってしまうと、主語が大きすぎるので実際には「国や地域によって違う」となりますが、今回注目したいのは、バレンタインデーは日本と同じように「女性→男性」の方向は当たり前ではないということです。
男性から女性にプレゼントするという国が多くあります。
ホワイトデーはそもそも存在しないというところが大多数です。
だからこそ、バレンタインデーの贈り物が男女問わず、立場問わず行われるんですね。
授業でやりがちなミス
主に初級クラスでの授受表現。
みんなの日本語利用者であれば、第一関門とも言えます。
ほかの教科書であっても、鬼門その1です。
名詞の授受表現、動詞の授受表現と段階を踏みますが、「授受表現」は上級の学生でも間違えます。
初級の導入で誕生日に関連付けたりしますが、バレンタインが近い時期だと、「バレンタインデーです。Aさん(女)はBさん(男)にチョコレートをあげます」とか…
やっちゃうんですよね。
気持ちはわかりますし、そのように導入している先生もいるでしょう。
決して間違えではありません。
ただ、危険です!
前述したとおり、国や地域によって「誰が、誰にあげるのか」違うので、自分の国に当てはめて考えてしまうと、「あげもらい」が反対になってしまいかねないのです。
特に一回の導入でうまくいかなくて、とっさに「これなら!」とバレンタインデーを想像させたりすると…
ああ、これは、まずい。
どうすればいいの?
じゃあ、どうすればいいの?ですよね。
文型導入から入る「みんなの日本語」タイプの教科書なら、導入を先にする場合が多いですよね。
その場で、対面で導入できるのであれば、実演しましょう。
小芝居である必要はありません。
先生が学生に何かあげて、その動作をしながら「先生はAさんに〇〇をあげます」と言うだけ。
隣の学生、隣の学生…と何回か繰り返せば、「あげる」の方向が理解できます。
同じようにやりながら「もらう」を導入するだけ。
正直、授受表現に関してはイラストを見せるより何より、実際に動作を見せたほうがわかりやすいです。
下手な場面設定や、小芝居の必要もないので、教員側もやりやすいです。
文型導入から入る教科書の場合は、「どんな場面で使用する文型なのか」に繋げることも大事ですが、そもそも導入で文型を理解させる必要があります。
その理解させる場面設定が自然な流れでできるのがベストではありますが。
授受表現は、主語と述語の関係ともの(名詞)の移動の方向を正しく理解することがポイントです!
まとめ
文型導入の時は、文化背景がミスリードにつながることもあるので、日本の普通が世界の一般的なことだと思わずに、よく調査したいものですね。
少し話せることが増えてくると、「私の国では〜」「私は前に〜」など、たくさん話してくれたり、その違いを授業に取り込んだりすることができるようになります♪