楽しい授業にしたい!
できるだけ、生教材を活用したい!
教科書以外にも興味関心の向くものを活用したい!
興味を持てるものを増やしてあげたい!
いろいろ理由や目的はありますが、「歌を授業に取り入れる」「教材として活用する」ということを考えたり、実践してみたりしたことがある人もいますよね?
「これから」と考えている人もいるでしょう。
ちょっと注意やおすすめをまとめてみます♪
個人的に、この授業のやり方を相談できる人が身近にいなかったので、同じような方がいらしたら一つの案として活用してください☺

歌を授業に活用するメリットとデメリット

あくまでも授業なので「なんとなく」でダラダラと流すだけというのは避けたいです。
そこで、そもそもどんなメリットがあるのかを考えたうえで取り入れると効果的に活用できると思います。

メリットもデメリットも複数ありますが、まずはメリットから。
①教科書とは違う授業ができる
②MVなども活用すると聴覚情報以外も得られる
③学生の興味や関心を広げるきっかけになるかもしれない

デメリット
①そもそも聞き取れないとやる気がなくなる可能性がある
②一切興味がないという学生を引き込むのは至難の業
③しっかり準備しておかないと何をしたのか本当にわからない時間になる

いつもの教科書を使う授業以上に大変な準備、授業時間になる可能性を考慮しておく必要があります。
どんな授業でもそうですが、興味がない人にとっては…
より一層つまらない時間になってしまう可能性もあります。
クラスの雰囲気や、興味関心を探っておく下準備は必要かもしれません!

使用する歌の選び方

「好きな歌でいいんじゃない?」
「今話題の歌だと、聞いたこともありそうでよくない?」

こう話していた先生を見たことがあります。
危険ですよ~
正直、学習者のレベルに合わせて歌を選ぶことは簡単ではありません。
例えば「みんなの日本語」で学習中の学生を対象で考えると、歌詞に含まれている語彙のすべてが既習語になることはほとんどありません。
文法も全部導入済みの文法しか使われいていない歌をみつけるのは現実的ではありません。
話題の歌はテンポが速すぎて聞き取れないということもあります…

こんなことを言ってしまうと「え、やめよ。」と思われてしまうかもしれませんね(-_-)
でも、私は歌を授業に取り入れることをお勧めしたいのです!
私が気を付けることを紹介します。

①学生の母国で現地語で受け入れられている歌から選ぶ
②英語の歌詞がないか、少ない歌にする
③面白くても「トンチキソング」は選ばない
④できればMVが歌の内容に対応している歌を選ぶ
⑤テンポが速くない歌にする

以上は中級くらいまでの学習者を想定しています。
全部をクリアしていなくてもいいのですが、②、③、⑤はクリアするようにしています。
テンポが速いかどうかは個人の感覚にもなりますが…

私が台湾にいたときは、50音だけを勉強した段階で歌を活用していました。
音と文字を一致させる目的で使用していました。
その時はKiroroさんの歌が大活躍でした。
台湾では中国語翻訳されていて、聞いたことがあるという学生が多くいましたし、そんなに早い歌でもありません。

実際に授業で活用させてもらった歌リスト(一部)

①official髭男dism「I LOVE…」
N2レベルの学生が在籍しているクラスで活用。
語彙はフォローする必要がありますが、文法に関してはN2で学習するレベルのものも結構あり、内容がちんぷんかんぷんという感じではありませんでした。
省略されているところや、倒置法になっているところの確認も必要に応じてするといいでしょう。
実生活の中では、倒置法の語順も多々あると思いますが、日本語教育での文法学習の中ではほとんど聞きませんよね。

②Kiroro「長い間」「未来へ」
アジア圏の学生は知っている人が多い印象です。
現地語で聞いたことがあるという学生や、現地での日本語教育で聞いたことがあるとか…
一説には「国際交流基金やJICAの派遣できた日本人がよく使用している」らしいのですが、そうなのでしょうか?
途中でラップが入ったり、難しいメロディーに変わったりしないので、初級の学生のクラスでも活用させていただきました♪
日本語学校の卒業式ではKiroroを留学生たちが歌うというところもありますよね。

③AKB48「365日の紙飛行機」
日本語学校の卒業式で歌う曲に決まったので授業で内容確認をしてみました。
メロディーは繰り返しが多く、歌詞も似ている歌詞の繰り返し部分が多いので、そんなに負担なくすすめられたように感じます。
その後、進学先で「日本の歌を手話で練習することになったから、この歌にしたいと言った~」と話している卒業生がいました。
いい歌だよね、と笑っていました(^^♪

④GReeeeN
複数活用させていただいております!
MVが使いやすいんですよね。
聞くだけではなくて、映像から授業に入りたいときは大体GReeeeNから選曲しています。
ラップ部分はどうしても留学生には難しくなりがちなので、そこだけは注意しています。
心情とかを探るときとか、個人的には大活躍なグループです。

⑤ジャニーズソング
ざっくりですみません。
東アジア(特に韓国・中国・台湾)では、有名で人気も上々ですよね!
しっかり調査したうえで数回だけ活用したことがあります。
個人的にジャニーズ(特にKinki Kids、NEWS、SixTONES)が好きなんです。
曲は上記に限らず全般よく聞いています。
そのため、本当はもっと活用したいのですが…
選曲が難しいことや、王子様イケメンみたいな人に興味がないという学生にはあまり受けない感じのところがありまして…
過去に使用したのは、ジャニーズが好きだという学生が多いクラス・比較的盛り上がる学生がほかの学生を巻き込むムードメーカーであること・ドラマや映画の主題歌になっていて、その作品が話題に上っていることを確認したときに活用しました。

学生が聞いていた歌

授業では使ったことはありませんが、学生の中には日本の歌を積極的に聞いている学生もいます。
そんな学生に「何を聞いているの~?」と聞いたところいろいろな歌を聞いていました。
いつか機会があったら授業でも活用したいと思っています!

海の声、涙そうそう、Lemon、Pretender、炎、香水、さくら(森山直太朗)、瞳をとじて、ひまわりの約束、HANABI、雪の花、手紙(アンジェラ・アキ)など…
ヒットソングやSNSで耳にした曲を聴いているみたいです。

音楽は聴いている人はたくさん聞いていますが、「全然」と話す学生は本当に全く日本の曲は聞かないということもありピンキリでした。
ただ、ちゃんと準備していけば「興味ない」と突っぱねられることはありませんでした。
(集中力が持つかどうかは別問題ですが)

授業として取り込んで、どんな反応があるのかは、本人が日本に対してどんな印象を持っているのか、日本に興味があるかなど、学生側の気持ちや、準備の面など教員側のことも影響しますが、気になっている人は挑戦してみては?
曲をきっかけにして「受け身」「使役」などの文法を勉強するのもいいですし、歌詞から気持ちを探る「行間を読む」みたいなこともできますし、使い方次第で楽しみながら勉強につなげることも可能です☆