私はよく「残念な学校」という表現を使います。
感じ方は人それぞれなので、「悪い学校」とは言い切らないようにしていますが、気持ちよく働ける学校と違って、「ここで頑張るのは嫌だな…」と思うような学校です。

個人差はありますが、このような学校にいてもあまりメリットはないと考えているので、自分の健康や業界の情勢を見て可能であれば距離感を保つのがいいと考えています。
つまり、辞めちゃえ♡ということです。
頑張り屋さんは「私が頑張らないと!」「学生のためにこれくらい」と自分を犠牲にしがちですが、同じように自分の時間を学生のために使うのであれば、せめてもう少し気持ちよく時間を使いたいです。(とはいえ、私は給料が発生しない時間は自分の時間にしたいタイプです)

そして、言い方は冷たいですが、そんなにあなたが頑張らなくてもその環境が合うというほかの人が巡り巡って頑張ってくれます。
組織は基本的にだれか一人がいなくなったくらいで壊れません。
もし、そんな組織だったのであれば健全じゃないので、それこそ早く離れたほうがいいです。

しかし、まだ経験が浅かったり、学校を移動したことのない人にとっては判断がむずかhしいですよね。
今回は私の経験、聞いた話から考える「残念な学校」の特徴を紹介します。

日本語教育の基本事情

日本語教師は一般企業と違って、同年齢で何人もの人が一緒に入社する新卒一斉入社みたいな制度は定着していません。
そもそも転職して日本語教師になる人が多いからです。
いつか新卒日本語教師が当たり前に就職できるようになるといいと思いますが…
もう少し先になるのでしょうか。
いずれにしても同じ学校に何人も新卒だけが一斉に採用されるというのは多くないと予想されます

①新人教育がない

中には社会人経験があって、基本的なビジネススキルはあるという人もいますが、学校によって多少やり方が違ったり、そもそも今まで日本語教師の経験がなければ気に掛けることが違ったりします。
そのため、どんな人でも、学校に新しく入った人に「うちの学校はこうしています~」みたいな新人教育がないのは…ヤバい!!!
こういう学校に限って、あの人仕事ができないとか言い出すから怖いです((+_+))←ただの個人経験談

②相談する相手がいない

学校には事務、専任講師、非常勤講師などがいますが、同じ職場に相談できる人が誰もいないというのはつらいです…
多くの日本語学校は1つのクラスを曜日担当で授業をします。
うまくいかないところもあるし、新しいアイデアが欲しいことだってあります。
授業を担当している時間は一人で授業を回すとしても、チームみたいな側面があるのでだれにも相談ができない大変です。
忙しさで相談できないにせよ、精神的に怖さを感じて相談できないにせよ、理由はどうであれ一緒に働く人が相談できない環境は普通ではありません。

③情報や教育スタイルがアップデートされない

私が日本語教育を学校で学んでいたときは「授業の進行にパソコンを活用する」という時代ではありませんでした。(約10年前なので、一部ではしていたのかもしれませんが…)
今では、パソコンだけではなくタブレットも活用しています。先鋭的な学校だと、学生にタブレットを配布しているくらいです。
ICTを全く活用しない授業が悪いというわけではありませんが、アイテムが増えました。そして、荷物が減りました。
「みんなの日本語」一強だったのが、ほかの教科書も増えました。
今後はそもそもオンラインで授業をすることが前提になるかもしれません。
教科書の中の言葉も必要に応じて変える必要があります。
私はみんなの日本語が指定教材でも日本で勉強している学生には「在留カード、印鑑、アルバイト、スマホ(携帯)」などは最初の段階で教えます。第2課でバンバン入れます。
未習語彙は使わない!と養成講座で教えられましたが、学習者は生活者でもありますからね。
日々教科書以外の言葉を吸収しています。
いつまでも「私の時代はそうだった」ではダメなんです。
社会でも度々話題に上がりますが、日本語教育業界だっていつまでも古いままではダメですよ!

④トップダウンの性質がある学校

トップダウンが一概に悪いとは言い切れませんが、日本語学校は基本的にいどうはありません。
ほかの人が自分のポジションを脅かすということもありません。
主任は一定期間以上の経験が求められるように、素人がそのまま着任するわけではありません。
こういう点から、勘違いしてしまう人もいます。「私は偉い」と。
そうなった場合のトップダウン気質は手に負えません。

⑤非常勤に対する扱いが悪い

非常勤は主に授業を担当しますが、それぞれのポジションに任された責任を果たしています。
常勤だから偉いのではないですし、学生全員が常勤だけを教師だと認めているわけでもありません。
非常勤でも生徒に好かれる先生はいくらでもいますし、常勤でも信頼の得られない先生はいくらでもいます。
それなのに常勤というだけで偉そうになり、非常勤を下だとみる人がいるんですね、残念ながら。
そうなると、情報が非常勤には降りてこなかったり、「授業だけしてくれればいい」と言われたり…
信じられないことではありますが、そんな学校も実在します。
合う合わないもあるので、人によって感じ方が変わりますが、それでもこの手の話は割とよく聞きます。

⑥学生にやたら「日本感」を求める

髪は黒。
スーツは黒のみで、男性のネクタイの柄は○○!
「日本の何が好き?アニメ?ごはん?街がきれい??」
授業は1回も休んではいけません。
など…

最近来日して日本語学校で学んでいる学生は、「日本が好きというわけではなく、親が行けといったから」という学生も多くいます。
自国よりかは稼げると聞いて来ただけで、日本が特別に好きなわけでもないし、日本語が勉強したいと思っていたわけでもない。なんなら、日本のこともあまりよく知らない。そんな学生も普通にいます。
でも、それは悪いことではありませんよね?
もちろん、「だから学校は全然行かない。ビザ更新で引っかかってしまう」というようでは困りますが、日本に興味がないこと自体は仕方のない状況になったと思います。
それなのに「日本が好き」というのが前提とされると、学生にとっては冷めますよね。
答えるのも面倒かも。

また、身なりに関しても、やたらと日本人を基準に「髪の色が明るすぎるから黒くしなさい!」「そのスーツは青いからダメです」などと耳にしますが…
その指導は気を付けないといけません。
本来、日本人もですが、髪の色で個人を判断されるべきではありません。
スーツも本人にとっては国で買える範囲のいいものを購入したのかもしれません。
例えば面接に行くとき、「○○の業界は黒髪が好まれる傾向がある」と伝える必要はあると思います。
学生が知らずに不利益を被ることのないようにするためです。
しかし、そのうえでどうするのかは本人に判断をゆだねるべきです。
強制はよくないです。
スーツも同じことです。
「買え!」と言っても金銭的に購入が難しい学生もいます。

あくまでも学生が知らなかったことで不利益を被らないように教えるというのは必要だと思いますが、見た目を「日本人はこうだから」と強要するのは絶対にいけません!!!
つまり、そのようなことを「指導」として疑わずに行っている学校は注意しましょう。
日本人神話の強要みたいなこと、誰も求めていません。
当然、勤務している限りは、足並みをそろえてそのように指導することを求められる可能性は否定できません。

⑦パワハラ気質

言うまでもありませんが、逃げましょう。
同じ人ばかりが、注意されていたり、授業見学をされていたり、主任などの役職だけがやたらと居心地がよさそうで役職でない人は縮こまっている、若い先生の仕事量が明らかに多い、主任や先輩があまり相談されている様子がない…
そう感じたら逃げましょう。
みんなに見えるところでなくても、パワハラ的な指導がされている可能性があります。
いかなるハラスメントにも「耐える」なんて必要ありません。
残念どころか、完全にアウトの学校です。

まとめ

当たり前ですが、一般的に「変」ということは日本語教育の現場でも容認されません。
セカンドキャリアで教師になる方、社会人になってから資格を取得して転職する方、新卒で日本語教師になる方、色々います。
もちろん学生も、国籍、年齢、目的など、様々な人が集まっています。

日本の当たり前が通じない環境です。
普段は気にしていなくても、タブーなこともあります。アンテナを張って情報をキャッチして、よく考えられるようになりたいものですね。

とにかく、残念な学校で元気にバリバリ働ける方はそう多くないです。
また、そんな学校がこの業界の普通だと勘違いしてしまって、すぐに日本語教育界から離れていく方もいます。
そんな学校ばかりではないので、いい学校に巡り合って、日本語教師を楽しめるといいなと思います♡