日本語教師だけではありませんが、小学校、中学校、高校…先生方は自分のことをなんと呼んでいるのでしょうか。
「私」「僕」「先生」あたりが大多数なのではないかと予想しますが…
正直、私は「先生は〜」と自分で自分のことを先生と呼ぶことに違和感があります。
今回は「日本語教師」に絞って、なぜおかしな感じがするのか考えます。
①学習者を過剰に子供扱いしているように感じるから
日本語学校に通っている学生は、学生いえども大人です。
最小年齢でも18歳。
確かに日本は初めてだという学生も少なくないですし、国によっては日本で思っている教育水準や内容とは違う人もいます。
そんな背景もあって、「子供みたい」と思う人もいるそうですが、子供じゃありません。
私は「先生ね」などと話し始めているのを見ると、小さな子供に「ママね」と言って話しかけているような感覚を覚えます。
自分の幼い子供に話しかけるのはそれでも構いませんが、同じように想像して、子供を学生に置き換えるとおかしな感じがしませんか。
実際には、日本語学校以外であれば子供の学習者もいます。
でも、自分の子供ではありません。
自我があり、成長している人に対して、他人が持つ距離感は大事だと思います。
そういう意味でも「対等」を示すには「私」がいいのではないかと思うのです。
②「先生」が偉いという感じがするから
実際に、国によっては先生の方が学生よりも偉い、立場が上、敬うべき対象だという学生もいます。
それは、ここの判断に委ねればいいと思っていますが、自分から「先生」と発すると「ほら、敬うべき対象ですよ」と意訳を含んでいる感じがして嫌な感じがします。
（いや、そう捉えてしまう私が嫌なやつなのか？）
教科書を使って敬語を教えると、先生を相手に学生が敬語（尊敬語、謙譲語）を使って話している文を多々見ますが、実際はみなさんいかがでしょうか。
私の学校は…面接対策で言わせるような場面はあるようですが、普通に授業をしていたり、話していたりするときにそんな話し方はしていません。
先生側も自然に話しているので、ゆるいです。
理解させるために語彙コントロールをしたり、既習文型で話すようにしたりする場面はありますが、「ですます体」で十分ですよね。
とするならば、教科書の見解では尊敬語、謙譲語をガチガチに使うべき対象の「先生」という言葉を積極的に自分に使っていることには頷けません。
③稀に勘違い教師が生み出されるから
②に近いことですが、教師の環境は少し特殊な側面があって、上司部下などいるはずなのに、全員が教師なので勘違いすると「お山の大将」なんですよね。
自分の授業時間は学習者を対象としているので、上司は来ないし、一般企業の先輩後輩関係ともなんだか違う。
そんな中で勘違いすると、「私は先生だから」みたいな人が生み出されます。
教師は自戒をする機会が必要ですし、うまくいく授業があったからといっておごっていてはいけません。
たまに「うまくいったー♪」と楽しむくらいはいいですが、自分がいつ何時も手本のように素晴らしい、生徒達のことはなんでも知っている、みたいになると危険ですよね。
余談ですが、私の中学の時の担任はこのタイプでした。
ドラマに憧れていたところもあったみたいですけど、子供なりに色々考える年頃にこの先生は萎えました。
絶対に自分のことを「先生」と言わないのか
じゃあ、ちびぃは絶対に自分のことを先生と呼ぶことはないんですね。と言われると、そうではありません。
必要に応じて、自分のことを呼ぶことがあります。
①電話などで視覚情報がないとき
②文法項目によって、混乱が起きやすいとき
この時は、あえて「先生」と言って、理解しやすいようにしています。
電話の時は、話が伝わったことを確認したいので、特に初級の学生と話すときは「私は〜」ではなく「先生は〜」と投げ掛けます。
文法項目だと、授受表現・受け身・使役・使役受け身のときはうっかり間違えると混乱のドツボにハマります。
もともと、苦手意識を持ちやすい文法なので、少しでもスムーズに、ハードルを低くするために使ったりします。
ただ、どちらも、最初は「私」で様子をみます。
そして、中上級に上がっていくと、「私」だけでいけるようになるので、「先生」は使わなくなります。
まとめ
実際に、「〇〇先生はいつも自分のことを先生と呼ぶ。それが嫌だ。どうにかしてくれ。」と言われたことがあります。
私じゃなくて本人に言ってよ〜と思いましたが、言いにくかったんでしょうね。
学生によってはそれだけで嫌悪感につながることもあるので、気をつけたいものです。
みなさんは、どうしていますか？
新しく先生になる方は、周りの環境にもよると思いますが、流されるだけではなく一回自分はどう感じるか、考えてみるといいかもしれません！