日本語学校と言っても、どんな組織なのかは多岐にわたります。
そこで学ぶ学生も当然、さまざまなバックグラウンドを持って来日しています。
今回は、日本での防災に関して、日本ど学校はどのように取り組むべきなのか、私見をまとめます。
正解はないことですが、日本に住んでいる限り、地震のない生活が保証されることはありません。
最近は豪雨や川の氾濫など、自然災害の規模が変わったように感じます。
どのように命を守るのか、現状の防災教育はどうなのか、いい機会なので考えてみます。
現状はどのような防災教育をしているのか
勤務している中で、教育機関なのは「日本語学校(告示校)」と「専門学校」です。
日本語学校は、読んで字の通りなので、全在校生が外国人で、日本語を学んでいます。
主にアジア出身の学生で、中には国で地震を体験したことがないという学生もいます。
一方、専門学校は、高校卒業後の進路先として日本人の学生も進路の一つとして考える選択肢の学校ですので、日本人学生もいますし、日本語学校を卒業して進学した留学生もいますし、日本語学校には通わずに直接入学した留学生もいます。
やはり、アジアの学生が多いです。
日本語学校は過去の経験も含めて、「防災教育はしていない」という認識です。
何もしていない、というつもりではないというのが学校の見解かもしれませんが、もし学校で被災したら避難所はここです。と書かれたパンフレットがあり、それを配布したくらいです。
これで、被災しても大丈夫だと言えるのでしょうか…
教科書のトピックの中に自身のトピックが含まれた教科書があります。
その学習項目を導入する際に多少、自信に触れることはありますが、せいぜいそのくらいです。
専門学校も、上記同様で避難所パンフレットの配布はありますが、それ以外の教育に時間を割いているようには感じられません。
つい最近の東北の地震直後の登校日に水、簡易毛布、乾パン?が入った非常グッズを配布したそうですが、地震がなかったら配布も無かったのではないかと思っています。
つまり、どちらも「防災教育をしている」とは言えないのではないかと考えています。
あったらいいと思う防災教育とは
個人的にこんな防災教育があったらいいなと思うのは、
①避難訓練
②ハッザードマップの確認
③学校だけではなく自宅で被災した際の対応を考える
④防災館での校外学習
日本の学校で義務教育を受けていたら、避難訓練はありますよね?
その時はなあなあだったりもしたかもしれませんが、大事ですよね。
よくスポーツの試合なんかで聞きますが、「練習でできないことは本番でもできない」
スポ根風のセリフでよく聞きますが、これって勉強でも同じですよね?
教室で理解できていなかった問題が、大学入試の本番で急にできるようにはなりません。
地震の時もそうです。
避難訓練でうまくできないことが、本当の災害現場で冷静に適切な対応ができるとは思えません。
特にパニックになりやすい状況です、難しくないですか??
日本語学校では特に防災訓練として時間を取るのが難しいかもしれません。
しかし、本当にできないことでしょうか。
1年に1回くらい時間取れそうな気もしますが…
そして、その防災訓練の時に、一緒にハザードマップの確認をしたいのです。
学校によっては川の近くの学校もあります。
川が氾濫するほどの水量は現実として見る機会はほとんどないので、頭でわかっていても現実にそうなる可能性を理解するのは難しいと思います。
教員も自分の家の周りは確認していても、学校は盲点かもしれません。
日本語学校や専門学校は非常勤講師も多く勤務している学校なので、常勤明けではなく非常勤講師も一丸となって確認しておくべきだと考えます。
そして、学生の生活環境を考えると、学校にいる時間は短いです。
誰かのおんぶにだっこではいけませんが、極論、学校で被災した際は他の友達もいるし、先生達もいるのでどうにかなります。
指示待ちでもなんとかなります。
しかし、自宅やアルバイト先で被災した際は、そうは言っていられません。
主体的に動く必要があります。
その時に、何をするのか、何をしないのか、自宅に準備しておくものなど…
経験のない学生は「大丈夫でしょ」と何も準備していないこともありありますし、そもそもどうしたらいいのか分からないという学生もいます。
家まで行って、一緒に準備する必要はありませんが、準備するための情報くらいはアドバイスしてあげてもいいのではないでしょうか。
そして、最後のこれが私が一番有効で、一番導入して欲しい防災学習です。
防災会館に行くこと!!
日本の学校では、防災訓練の日に消防車が学校に来たり、地震体験車が來たりと学校に関係者が来てくれたことがありました。
日本語学校や専門学校ではそのような機会は、今のところありません。
でも、防災会館なら行けますよね。
最近は多言語対応の施設もあるますし、地震だけではなく、豪雨の体験や火災現場を想定した煙の中から脱出する体験もできます。
ここへ行けば、たくさんのシチュエーションから命を守る術を体験できます。
学校行事には様々なものがあります。
私が勤務している日本語学校では、文化祭のような校内イベント以外にも遠足で校外に出る行事があります。
ディズニーランドへ行ったり、富士山へ行ったり。(コロナ禍においては中止となり、実施していません)
楽しくていいですよね。
もちろん、これもありだと思います。
ただ、複数ある行事の一つを防災会館にはできないのかな、と思うのです。
変更ではなく、追加できると言うのであれば、それがベストかもしれませんが。
まとめ
日本に来ている留学生は「子供」ではありません。
「言えばわかるだろう」「命を守るなんて常識だろう」と思うかもしれません。
もちろん、心配などしなくても、その時が来てしまったらさらりと対応するかもしれません。
ただ、「やっておけばよかった」だけは避けないといけないのです。
何が正解ということではありませんが、外国人が多く集まる環境での防災意識は過信してはいけないと思うのです。
過去の新聞記事には「外国人だから避難所にはいけないと思った」と話している人がいました。
正しい知識はどう行動するのかだけではなく、どのように門戸が開かれているのかまで含まれてこそではないでしょうか。
私の勤務校は変わる様子はありませんが、今年も全体会議で投げかけたいと思っています。