さて、前回は辞書の取り扱いに関して考えました。
辞書がスマホ媒体であることが多い、と書きましたが、今回はストレートにスマホの取り扱いを考えます。

学校によって「授業前に回収して、全授業が終了してから返す」「使ったら没収」「没収はせず、ひたすらに何回でも注意」など、対応は様々です。
あなたの学校の方針はいかがでしょうか?
今回は携帯を預かる(没収する)か、しないか考えます!

朝来たときに全部預かる

メリット

授業中の携帯使用は皆無
手元にないので、そもそも我慢できなくてとか、うっかりとか、起こり得ません。
そのため、教員側が携帯を気にする必要もありませんし、注意する必要もありません。
よって学生も注意されたり、携帯使用を叱られたり、またはその為に真面目な学生が待たされたりすることはありません。

デメリット

回収の時に一悶着おきがち
預けっぱなしになると休み時間も使えません…
やっぱり、預けたくはないですよね。
なので「鞄に入れるから」「使わないから」など、この時点で時間がかかります。
ルールだと理解していても、預けることにうんざりしている学生は、テンションが上がらないまま授業を受けていたり、これだけのことで関係性が悪くなったりもします…
よく「臨機応変に」とは言いますが、今日は仕方ないから返す、という対応をしているとただ返して欲しいだけの学生もそれらしい理由を考えて、休み時間だけでも返してもらおうと交渉にきます(°_°)
本当に全員が納得できる「平等な対応」できますか?

調べればすぐわかることでも調べられない
休み時間にささっと調べておけばいいようなことでも、手元に辞書機能があるものがなければ調べられません。
諦めてしまって授業から取り残されてしまうかも…
わかる人にいつも聞いてばかりで、自分で調べない人になるかも…
先生が答えるしかなくて時間が大変なことになるかも…

万が一、壊れたりした時の責任はどこに?
ほとんどないけれど、万が一、学校が預かっている間に携帯が故障したら?
落としてしまって画面が割れたら??
学生は当然、学校側の責任だと言いますよね。
主張まは違っていないと思いますが、学校側は修理代金など金銭的なことや、データなどの心理的なことに対して、どこまで責任を負うのでしょうか?
いちいち承諾書を書かせているわけじゃあるまいし。
でも、大事なことですよね?
学生の責任として学校は関与しないのか、その時の担当教員が責任を負うのか、あくまでも学生個人の話なのか…

すごく個人的な主張ですが、私は預かるタイプの学校で働くのは遠慮したいです。
預かるのも返すのも手間だし、没収スタイルではなくて、マナーを守った使い方をしてほしいところ。

使ったら没収

メリット

使い方を自分で考えられる
学生は休み時間など、ルールの中で携帯の使用ができます。
気分転換にメッセージをする学生もいれば、音楽を聴く学生などもいますが、みんな今時の子たちです。
一緒に写真を撮って楽しんでいることもあります。
留学生活の思い出、日常の一コマが残せるので楽しいですよね。
好きな音楽を聴かせたりしているのも微笑ましいし、コミュニケーションのきっかけになっていることもあるようです。
「もう子供じゃない」とお互いに思うかもしれませんが、厳しいルールを守らせるだけでなく自己判断の上で自分の行動が決められます。
信頼しているということでもありますね。

教員も頭ごなしにガミガミ言う必要がない
使った瞬間アウトー!!!と食ってかかるわけではありません。
相手の主張を聞くという工程があれば、仮に没収されることになったとしても学生も思うところがあるはずです。
結果、没収するとしても気持ちが違います、お互いに。
それに、ダメだとわかっていて使っていることが多いので、注意したらそれで止めることもあるし、素直に差し出すこともあります。

デメリット

結局、没収する必要がある
「使ったら没収」と言っている以上は、その通り「使ったら没収」です。
それが、いかなる理由でも没収なんです。
授業中にこの場面になるので、ほぼ100%ごたつきます。
「すぐ片付けるから」「辞書だった」「もう使わない」など。
正直、ちゃんとしている学生の時間を使って、ルールを守らなかった学生の対応に多くの時間を使うのはもったいないと思っています。
そして、やる気のある、きちんとルールを守っている学生にも失礼だと思っています、私は。
だから、授業中にこのやりとりをしないといけないこと自体が嫌。

平等に没収は難しい
どういうことかというと、教員側から常に見える位置と、見えにくい位置がありますよね。
そのため、「気がついたら」という基準は平等だとしても、そもそも気がつかれないから日常的に使えるという学生が存在するんです。
そんな、携帯を確認するのがメインの仕事じゃないから・・・とは思いますが、学生側からしたら「あの先生はいつも自分の携帯は取り上げるのに、〇〇さんには使わせている」と思われるんですよね・・・
告げ口みたいなことをする学生もいるので、学生同士の仲に亀裂が生まれる原因になることも。
「子供じゃないんだから、うまいことやってよ」と思う気持ちもありますが、「学生」という立場になると子供っぽくなる人っていますよね。

返却時に指導が必要
ただ「はい、返すわ」とはいきません。
「どうして使ったの?」「使ってはいけないと知っているでしょ?」「明日からはどうしますか」など、やはり指導をしないと・・・
そして、この時間は授業時間外になります。
日本語教師って専任だろうが、非常勤だろうが、授業時間外に仕事がありますよね。
非常勤だと、その分の給料が別途支払われるのはまれな話。
時間外業務が増えたら、その分自分の時間が減っていきます。
実質の給料も安くなっていくということです。
「必要なことだから仕方がない」「私は業務内だと思う」という人は納得しているのでいいでしょうが、私はボランティアではなく仕事である以上は過度な自己犠牲はしません。
面談で話が長くなると、「無料面談」をしないといけないことになります。
私は、それはしたくない派です。
授業終了後は少しでも早く帰りたいです笑

取りに来ない
学生もへそを曲げてしまって、ブチ切れたまま帰ってしまうこともあります。
そうなると、携帯を一晩没収したままになるんです。
毎日家族に連絡している学生の場合は、国から心配して連絡があるときもあるし、バイト先に連絡ができないからと不利益を被ったり・・・
自己責任ではありますが、さすがに避けたい事態が発生するんです(T_T)

他のデメリットは、最初の「登校したら預かる」に共通すると思います。

没収はせず、何回でも注意する

メリット

没収しなくていい
取り上げるのも、没収している間管理しないといけないのも面倒です。
管理と言っても何をするわけでもありませんが、うっかり落としてしまったら?気がついたらなくなってしまっていたら?万が一を考えると、没収したくないんです・・・

デメリット

当たり前に携帯を使う
まあ、ご想像のとおりですが、没収しないのであれば何度でも携帯を使います。
一瞬一瞬は「はい~」と言って手を放しますが、携帯をしまうこともなければ、使わないように意識することもありません。
もはや、注意するだけムダかと思うくらいに使います。

理想

個人的な理想ですが・・・
「使ったら没収→担任(専任)対応に引き継ぐ」

いかにも自分は楽な方にという対応ですね・・・
すみません。
理由は以下の通りです。

あえて調べさせるのに使いたいときもある
私は、調べ物や語彙を確認させるだけ、など、必要に応じて携帯を使わせたいときがあります。
調べ方も教えた上で、ひとつの道具として使うことが必要な時代になったと感じています。
「辞書」と言って、facebookで調べたりしていますが・・・
そうではない使い方を教えるきっかけにもなるし、いいアプリがあったら紹介できます。
完全に禁止にしてしまうのはもったいないツールだと思います。

専任は業務時間外勤務でも給料が出る(残業代の支給がある)
どれだけ残業をしても全く反映されない非常勤と大きく違うポイントです。
きちんと残業代が支払われるので、勤務時間内の対応ですよね。

デスクがある
没収した後にデスクに置いておくことができます。
鍵付きのデスク(ロッカー)があるので、そこに入れておくこともできます。
共用スペースを分け合っているよりは、管理としても適切なのではないかと思います。

担任も学生のことを知っていてほしい
「知らない」「理解していない」と言うつもりは全くありませんが、担任だからといってそのクラスの授業を担当しているとは限りません。
進路関係とか行事など、学生のことを見る機会はあると思いますが、授業態度がどうなのかなど、日常の面でも理解してほしいと思うときもあります。
学生だってバカじゃないので、担任には比較的いい顔をしています(-_-;)

できるだけ穏便に授業をしたい
いい子ちゃんだけを教えたい、という意味ではありません。
ルール違反のモヤモヤと、学ぶべき学業の内容は分けたい。という意味です。
すねるとペアワークもまともにしないし、話を聞かなくなって何もしないまま授業が終わったり・・・
お互いに不利益なんですよね。
学生だって分からないことが増えたら楽しくもないし、クラスを下げる必要も出てくるし。
あえて他の人が介入した方がその日の授業はそれとなくできることもあります。
それに期待したい・・・

どこかに所属している限りは、所属先の方針に従う必要があるので、教員側の個人プレーはできませんが・・・
ルールの中でできる個人の一貫した対応は必要ですね!